結論: ダイソーのカップウォーマーと手作り台座を組み合わせ、床から天面まで 65mm にすると、室温 17〜20℃ 前後の屋内で、台座の天面を 約26℃ に近づけられました。
この記事は、簡易育苗器 ver1.0 の失敗を踏まえて、「身近な材料で、発芽適温に寄せるために何を変えたか」 をまとめた記録です。単なる作成ログではなく、同じように室温が低めの部屋で播種したい人が、最初にどこを調整すればよいか が分かる形を目指して整理しました。
この記事で持ち帰れること
- ダイソーのカップウォーマーを熱源にしたとき、天面温度は高さで調整できること
- 今回の条件では、床から天面まで 65mm がひとつの目安になったこと
- 室温 17〜20℃ 程度の環境なら、おおよそ +6℃ 前後 の押し上げが見込めたこと
- ただし、この結果はケースサイズ・熱源・室温・測り方に依存するため、そのまま固定値として使うのではなく、自分の環境で再確認が必要なこと
こんな人に向いています
- ダイソーなどの身近な材料で、なるべく安く育苗環境を作りたい人
- ミニトマトなど、発芽適温が 25〜30℃ 前後の作物を室内で播きたい人
- いきなり高度な電子制御には行かず、まずは置き方と距離で温度を寄せたい人
この結果が当てはまりやすい条件
今回の結果は、次のような条件で得ています。
- 置き場: 直射日光の当たらない屋内
- 室温: おおむね 17〜20℃
- 熱源: ダイソーの カップウォーマー(10W・5V 2A 表記)
- 構成: クリアケース内に熱源を置き、その上に台座とセルトレイを載せる方式
- 測定: 家庭用のアナログ温度計で、通電 0分 と 20分 の天面温度を確認
反対に、次のような条件では同じ結果にならない可能性があります。
- 日当たりが強く、ケース内が自然に加熱される場所
- 夜間の室温が 15℃ 以下まで下がる場所
- ケースの大きさや素材が大きく違う場合
- セルトレイや土の量が増え、熱の持ち方が変わる場合
初号機で起きたこと(ver1.0 の運用結果)
ver1.0 をおよそ2週間運用したところ、10粒播種して発芽したのは1粒だけで、その1粒も根が張らず落ちてしまいました。自然任せの温度管理では、育苗として厳しかったと考えています。
トマトの発芽適温は、一般的に 25〜30℃ 前後とされることが多いです1。一方、ver1.0 の置き場では、夜に 約17℃、昼に 約40℃ まで上がるなど、適温から外れた振れ幅が大きくなっていました。計測の詳細は ver1.0 の記事 にまとめていますが、夜間の低温と日中の過昇温の両方が発芽を不安定にしたと見ています。
今回の ver1.1 では、ここを次のように整理しました。
- 夜の低温対策: ケース内に熱源を入れて、最低温度を持ち上げる
- 昼の過昇温対策: 直射日光を避け、さらに熱源から播種面までの距離で温度を絞る
ver1.1 で行ったこと
ヒーターをクリアケース内に入れ、かつ 常に同じ場所 に置くことで、温度のブレを小さくします。加熱源としてダイソーの カップウォーマー を使い、種を載せる天面が焼けすぎないよう、ポリスチレンのカラーボードとアルミ保温シートで 台座 を作りました。
今回のポイントは、ヒーターの強さそのものを変えるのではなく、ヒーターから天面までの距離で天面温度を調整したことです。部材を買い足さずに試せるので、同じような自作環境でも再現しやすいと考えています。
材料とポイント
外枠のクリアケースは ver1.0 と同じです。選んだ理由や製品情報は ver1.0 の記事 にまとめています。今回新たに加えた主な材料は次のとおりです。
- カップウォーマー(カップヒーター): 仕様表記は 10W・5V 2A。触ると熱い程度で、手をかざした感覚では 60〜70℃ 近いと感じるほどの発熱があります(表面温度は未測定)。育苗の主な熱源です。ダイソー:カップウォーマー(製品ページ)
- カラーボード: 厚さ 5mm のポリスチレン板。台座の高さを作るために重ねて使いました。
- アルミ保温シート: カラーボードの間や天面に挟み、熱の均一化と保温に使いました。
材料費の目安は、合計 約1000円 でした。
完成品と構成部品
完成した様子と、パーツを並べた状態です。


台座:ヒーターから天面までの距離をどう決めたか
カップウォーマーは発熱が強く、種をまいたセルトレイ(卵パック)を直接載せると種が焼けるおそれがあります。そのため、5mm厚のカラーボードを積み上げて天面の高さを作り、カラーボードの間や天面にアルミ保温シートを挟みました。熱が広がりやすいようにしつつ、保温も補うためです。
また、天面裏とカップヒーターは直接接触させず、輻射熱を主に利用する構成にしました。接触させると局所的に熱くなりやすく、天面の温度ムラや過昇温のリスクが上がると考えたためです。
天面の下にカップヒーターを置く構成のため、床から天面までの高さが変わると、天面温度も変わります。外気温が 約20℃ の環境で、天面が 約26℃ になる高さを探る必要があり、試作の結果、床から天面まで 65mm のときに 約26℃ になることが分かりました。

参考:床から天面の高さを変えたときの台座の天面温度(20分加熱)
カップヒーター単体では土温が 30℃ を超えやすい ため、床から天面までの高さ を変えて天面温度を抑え込みました。下表は試行結果です。
測定は アナログ温度計 を用い、カップウォーマーへの通電後 0分と 20分 の天面温度を記録しました。外気温はおおむね 17〜20℃ 程度の屋内、直射日光の当たらない条件です。置き方や測定位置の再現はアナログ寄りで、温度計も家庭用の簡易品のため、値は 目安 としてください。
| 試行 | 通電0分の天面 | 通電20分の天面 | 床から天面までの高さ |
|---|---|---|---|
| 1.0 | 18℃ | 32℃ | 45mm |
| 1.1 | 19℃ | 31℃ | 55mm |
| 1.2 | 21℃ | 29℃ | 60mm |
| 1.3 | 20℃ | 25℃ | 70mm |
| 1.4 | 20℃ | 26℃ | 65mm |
試行 1.4(床から天面 65mm)で、20分後の天面が 約26℃ になりました。
今回の試行から見えるのは、高さを 5〜10mm 変えるだけでも、20分後の天面温度が数℃動くということです。つまり、同じ熱源を使っていても、温度が合わない場合はヒーターを買い替える前に、まずは距離を見直す価値があります。
同じように作る人が最初に確認したい点
もし同じような構成を試すなら、最初は次の3点を見るのがよいと思います。
- 室温が何℃か 室温が低すぎると、65mm にしても天面が上がり切らない可能性があります。
- 通電 20分後に天面が何℃か まずは短時間でざっくり見て、25〜30℃ に入るかを確認します。
- 播種面のどこが熱いか 中央だけ熱いのか、全体が温まっているのかで、台座や保温材の効き方が変わります。
今回の結果の限界
今回の結果には、いくつか注意点があります。
- 土を入れた状態の土温を直接測ったわけではない
- 20分時点の天面温度が中心で、長時間の安定性までは見切れていない
- 室温の変化や日内変動を厳密には追えていない
- 温度計が家庭用の簡易品で、精密な校正はしていない
そのため、この記事で言いたいのは「65mm が絶対解」というより、この条件では 65mm 付近が有力だったということです。むしろ重要なのは、高さを変えながら自分の環境で温度を寄せる考え方だと思っています。
使い方と運用上の注意
- 設置場所: 屋内の、直射日光の当たらない 場所に置きます。
- 運用: カップヒーターをケース内に入れ、台座の上に播種したセルトレイ(卵パック)を載せます。
- 過昇温確認: 室温が上がる日や日差しが入る日は、天面温度が想定以上に上がらないかを一度確認した方が安全です。
次に試したいこと
今回の ver1.1 は、あくまで発芽適温に寄せるための最初の改善です。次は、次のような点を見たいと考えています。
- 実際の発芽率が ver1.0 と比べてどう変わるか
- 播種後数日間の温度の持続性がどうか
- 土やセルトレイを載せたとき、天面温度と実際の土温がどれくらいずれるか
- 同じ熱源でも、ケースサイズを変えたときにどこまで成立するか
まとめ
ver1.0 では、夜間の低温と日中の過昇温によって、ミニトマトの発芽に必要な温度帯を安定して確保できませんでした。そこで ver1.1 では、カップウォーマーをケース内に入れ、台座で高さを調整する構成に変えました。
今回の条件では、床から天面 65mm のときに、通電 20分後の天面が約26℃ になりました。室温 17〜20℃ の屋内で、発芽適温に寄せるための目安のひとつにはなりそうです。
同じように試す人にとって大事なのは、65mm という数字そのものよりも、熱源から播種面までの距離を変えながら温度を合わせるという考え方だと思います。温度が合わないときは、ヒーターの強弱より先に、まずは距離と設置条件を見直すと調整しやすいはずです。
この条件で 7〜10日程度 で発芽するかは、引き続き観察します。発芽率や播種後の様子がまとまったら、次の記事で追記したいと思います。